お腹がすいたとき、甘えたいとき、不満があるとき……。猫の「ニャー」という鳴き声には、さまざまな意味があるように感じますよね。

実は、大人の猫同士が「ニャー」と鳴き合ってコミュニケーションをとることはあまりありません。猫同士は体の動きやしっぽのサインでやり取りをしており、「鳴く」という行動は、人間とのコミュニケーションのために特別に使われている言葉だと言われています。

24匹の猫たちと暮らす我が家は、毎日いろいろな声が飛び交う大合唱状態ですが、長年観察していると、猫が人に対して鳴くのには、その子なりの理由やルールがあることが分かってきます。

今回は、猫が人に向けて鳴く理由と、その意味の受け止め方について整理してみました。

猫が鳴く理由はひとつではない

猫が人に向かって鳴く理由は、決してひとつではありません。

ごはんやおやつがほしい(要求)

遊んでほしい、撫でてほしい(甘え)

トイレが汚れている、ドアを開けてほしい(不満・改善の要求)

ただ近くにいることを伝えたい(挨拶)

同じ「ニャー」でも、短く高い声のときは「おはよう」「あそぼ」、長く低い声のときは「ごはんまだ?」「不満がある」など、声の高さや長さ、鳴くタイミングによって意味を使い分けていることが多くあります。

ただし、鳴き声の意味を人間側で「絶対にこれだ」と一概に決めることはできません。猫ごとに性格や生活環境が違うため、その子なりの独自の伝え方(ボキャブラリー)を持っているからです。

よく鳴く猫・あまり鳴かない猫がいる理由

「うちの猫はよくおしゃべりする」と感じる一方で、ほとんど声を出さない無口な猫もいます。

これは「人と接する時間が長かったか」「鳴いたときに要求に応えてもらえた経験があるか」といった生活環境による影響も大きいですが、生まれ持った気質(性格)の違いも関係しています。

よく鳴くからといって、必ずしも問題がある(わがまま、あるいは不安を抱えている)とは限りませんし、逆もまた然りです。

実際に我が家には、一緒に保護した兄弟猫のグループがいます。同じ母猫から同時に生まれ、まったく同じ環境で育った兄弟でも、「よく鳴いてアピールする子」と「じっと見つめてくるだけでほとんど鳴かない子」に、ハッキリと個性が分かれています。

猫は相手によって鳴き方を変える?

猫の鳴き声については、「相手(人)によって鳴き方を変えているのではないか」という観察報告もあります。

たとえば、「女性より男性に対してのほうがよく鳴く」「お世話をあまりしない家族のほうが、強いトーンで鳴かれる」といった話を聞いたことがあるかもしれません。

一説では、「猫の意図(してほしいこと)にすぐ気づいてくれない相手ほど、分かってもらおうとして鳴く回数やトーンを変えて試しているのでは?」という見方もあります。

※ただし、これについては明確な科学的根拠や絶対的な結論が出ているわけではありません。あくまで現在の動物行動学における観察ベースの「推測(仮説)」のひとつとして捉えてください。

猫が鳴く=困っている(不調)とは限らない

猫がしきりに鳴くと、「何かしてあげなきゃ」「どこか痛いのかな?」と心配になる飼い主さんも多いと思います。

もちろん、急に夜鳴きが始まった、普段と違う低く唸るような声で鳴く、といった場合は病気(甲状腺の病気や認知症、痛みのサインなど)の可能性もあります。

しかし、長年医療の現場で人の「小さなサイン」を見てきた経験からも言えるのは、「声(鳴き声)単体だけで判断しない」ということが非常に大切だということです。

鳴くこと自体がその子の日常のコミュニケーションである場合も多いため、

食欲はいつも通りあるか

トイレ(排泄)の回数や状態に異常はないか

うずくまったり、隠れたりしていないか

といった「全身の様子・生活リズム」とあわせて観察することを心がけてみてください。

まとめ|猫の鳴き声は「その子なりの伝え方」

猫の鳴き声には、「こう鳴いたらこの意味」という全人類共通の正解辞書はありません。

しかし、

猫同士ではなく、人に向けて鳴いてくれている

兄弟でも違うくらい、性格によって鳴き方が変わる

会話の一部として、あなたに何かを伝えようとしている

こうした視点で見つめ直してみると、毎日の「ニャー」という鳴き声が、愛猫とあなただけの特別な暗号のようで、少し愛おしく、面白いものに感じられるかもしれません。

この記事を書いた人
ブログ主<ねこのて>
健康や生活環境に関わる現場で、医療職として人の体調や暮らしの相談に向き合ってきました。
現在は多頭飼いで猫と暮らしており、人にも動物にも負担の少ない生活環境づくりを大切にしています。
※本記事は医療行為や診断を目的としたものではありません。