成猫のその行動、なぜ?

成猫を迎えてしばらく経つのに、
こちらから近づかない限り寄ってこない。

目は合うし、同じ部屋にはいる。
でも、膝には乗らないし、自分から甘えてくることもない。

そんな日々が続くと、「やっぱり懐いていないのかな」と不安になることがあります。

でも、近寄らない=心を許していない、とは限りません。
成猫との暮らしでは、
「距離がある」という状態をどう受け取るかが、とても大切です。

この記事では「成猫が近寄ってこないのは、なぜなのか?」を考えていきます。

「そもそも“成猫が懐く”とはどういう状態なのかについては、
▶︎ 成猫は懐く? ─ 成猫との暮らしは、関係を育てる時間から始まる─
で、もう少し丁寧に整理しています。」

近寄らないのは「警戒」ではなく「選択」のことがある

子猫のように無邪気に飛び込んでこないからといって、
その成猫が人を信用していないとは限りません。

成猫は、子猫と比べて
すでに距離感を調整する経験を多く重ねています。

安心できる場所、落ち着く距離、触られたくないタイミング。
それらを選べるからこそ、「あえて近づかない」ことがあります。

近くには来ないけれど、部屋からは出ていかない。
こちらが動くと、視線で追ってくる。

それは警戒というより、
「把握している」「様子を見ている」状態に近いのだと思います。

距離がある=関係ができていない、ではない

人でも、他者との「関係」には、いろんな関係があります。
よく話す関係。同じ空間で静かに過ごすのが苦にならない関係。

猫も同じで、
距離があるまま安定している関係は、確かに存在します。

・同じ部屋で寝る
・生活音に驚かなくなる
・目が合っても逃げない

これらはすべて、分かりにくいけれど「信頼のサイン」です。
近寄らないからゼロ、ではなく、
静かに積み上がっている「途中の関係」と考えるのが
あっているように思います。

成猫は「甘えたいとき」を自分で決める

成猫は、甘えるタイミングも自分で決めます。
こちらの気持ちと、必ずしも一致しません。

だからこそ、

・無理に距離を詰めない
・近寄ってきたときだけ応じる
・短い触れ合いで追いかけない

この「引く姿勢」が、結果的に信頼を育てます。

成猫との距離感は、近い・遠いの二択ではなく、
その猫なりの“ちょうどいい位置”があります。
距離そのものの考え方については、
▶︎ 成猫との距離感に悩んだときに知っておいてほしいこと
でも詳しく書いています。

何もしない時間を尊重したあと、
ふと距離が縮むことは、決して珍しくありません。

「安心している動物」の共通点

本当に不安が強いときほど、体はこわばり、
周囲への注意が過剰になります。

看護師として人と向き合っているときにも感じることで、
これは猫でも、人間でも同じです。

静かに距離を取りながら落ち着いている状態は、
心身が安定しているサインでもあります。

近寄らない=不安、とは限らない。
これは、人でも動物でも共通する感覚です。

「何も起きない時間」は、止まっているわけじゃない

成猫との暮らしでは、
何日も、見た目に変化がない時期があります。

その間にも、

・環境音に慣れ
・生活リズムを覚え
・人の動きを予測する

といった内部の変化は進んでいます。

静かな時間こそが、信頼の下地になっていることは少なくありません。

まとめ│距離がある関係は、失敗じゃない

変化が見えない時間が続くと、不安になるのは自然なことです。
何も起きない時間そのものの意味については、
▶︎ 成猫はいつ懐く?何も起きない時間と、信頼が育つまでの実体験
で、実体験を交えてまとめています。」

なかなか距離が縮まらない成猫を前に

「もっと甘えてほしい」
「他の家の猫みたいにならない」

そう思うのは自然です。
でも、成猫との関係に正解の距離はありません。

一定の距離を保ったまま、穏やかに暮らせているなら、
それはもう、ひとつの完成された関係ではないでしょうか。

近寄らないからダメ、ではなく、
今の距離で落ち着いていることもとても意味のあることです。

ここから先も、猫のペースに委ねても、ちゃんと前に進みます。