腎臓は、とても「我慢強い」臓器です。
少しずつ負担がかかっても、すぐに不調として表に出ることはありません。

そして、猫の腎臓は人の腎臓よりも弱い。

食欲がある。
トイレも一応できている。
元気そうに見える。

──そんな日々の中でも、
腎臓の中では、静かに仕事が続いています。

特に成猫・シニア期に入った猫は、
若い頃と同じ生活をしていても、
体の処理能力は少しずつ変化していきます。

これは病気というより、
体のつくりとして避けにくい変化です。

腎臓は「処理し続ける」臓器

腎臓の役割は、とてもシンプルです。

体にとって不要なものをろ過し、
水分やミネラルのバランスを整える。

猫はもともと砂漠由来の動物で、
少ない水分でも生きられる反面、
腎臓に負担が集まりやすい体の構造をしています。

だから腎臓は、
毎日、黙々と「処理」を続けています。

何を食べたか。
どれくらいの水分が入ったか。

そのすべてが、
一度は腎臓を通っていきます。

「何も起きていない今」を、どう考えるか

腎臓の難しいところは、
かなり機能が落ちるまで、
はっきりした異変が出にくいことです。

血液検査の数値が変わったときには、
すでに元の状態には戻れない段階、
ということも少なくありません。

だからといって、いたずらに恐れる必要はありません。

大切なのは、
「何かが起きてから慌てる」ことではなく、
何も起きていない今を、どう考えるか

その視点を、
日々の暮らしの中にそっと置いておくことです。

腎臓を守るために、まず見直したい「ごはん」

「腎臓ケア」と聞くと、
療法食や特別な対策を思い浮かべるかもしれません。

でも、
腎臓にとって一番身近で、一番長く影響を受けるのは、
毎日のごはんです。

ごはんは、一度きりではなく、
毎日、くり返し体に入ってきます。

一回一回は小さな負担でも、
それが積み重なれば、量になります。

だから大切なのは、
「完璧な正解」を探すことではなく、
負担をかけすぎない選び方をすること。

大事なのは「できる範囲で、続けられること」

腎臓を意識したごはん、というと、
何かを大きく変えなければいけないように感じるかもしれません。

でも実際は、

・水分をどう取れるか
・何を毎日くり返し食べているか
・体が処理し続けているものは何か

そうした視点を、
少しだけ持つことから始まります。

完璧に整えなくても、全部を変えなくても、

「できる範囲で、続けられること」。

それが結果的に、
腎臓の静かな消耗をゆるやかにしていきます。

猫の体のことを考えることは、
人間の食べ方も、見直すきっかけになりました。
関連記事 ▶ 猫と暮らして気づいた、体に負担をかけすぎない食べ方

ごはんの話は、暮らしの話につながっていく

食べるものや、水分の取り方を意識し始めると、
不思議と、暮らし全体の感覚も変わってきます。

水のこと。
においのこと。
洗剤や、生活環境のこと。

それらはすべて、
「体に何を通しているか」という
同じ延長線上にあります。

こちらの記事では、
猫の腎臓を考える中で見えてきた、水や生活環境との関係について、
もう少しだけ掘り下げていきます。
関連記事 ▶ 食べ方から暮らしまで。体と猫に負担をかけない日常の工夫

この記事を書いた人
ブログ主<ねこのて>
医療職として人の健康相談に携わりながら、猫と暮らしています。
「何も起きていない時間をどう守るか」という視点を大切にしています。
本記事は、猫の診断や治療を目的としたものではありません。
気になる点がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。